《別れこそ笑顔で》
(刀剣乱舞/鳴狐)
粟田口派の刀工・国吉が鍛え上げた打刀。
お供の狐がほとんどの感情表現を行う故、口数が少ない刀剣男士。
その本丸の審神者は鳴狐を近侍としていた。
どうやら「鳴狐の心からの笑顔が見たい」という挑戦のためだったらしい。
しかし何年、何十年経てども鳴狐は変わらず凛とした顔付きでいる。
そして審神者の歳が3桁目前のある日。
静かに息を引き取った。
その日も鳴狐は泣くことも無く、いつもと変わらぬ表情のまま、目覚めぬ審神者の横に居た。
本丸の刀が代わる代わる審神者の顔を見に訪れ、日が暮れ、月が空に浮かぶ頃。
ようやく鳴狐だけの時間が訪れた。
その時、鳴狐は面を外し、審神者の顔をじっと見ると、
「あるじ。鳴狐の笑顔はどうだ」
そう言い、涙を流しながら思い切り笑ったのだ。
審神者の目には二度と映らぬ笑顔。
そして。
「さようなら。あるじ。鳴狐は幸せだったぞ」
そう言って別れの言葉と共に、笑顔を手向けた。
8/20/2024, 12:07:05 PM