『人生』という名の列車を途中下車しようと思ったことが幾度か、ある
その度に
「今じゃないんじゃない? このまま大人しく乗っていたって、いつかは必ず終点に着くんだ
そんなに先を急がなくても、これからまだまだ出会うだろう美しい景色を見ないなんて勿体ないよ」
という声が私をその場にとどまらせてくれた
辛く苦しい時、嬉しくて舞い上がりそうな時、日々の何かの折に聞こえてくる声
励ましだったり、叱咤だったり、賞賛だったり、共感だったりの声がどこからともなく降りて来るのだ
きっとそれは、私が誰かに掛けて欲しいと無意識に欲している声を、どこからともなく降りてきた声として聞いているのだろう
ここで言葉を綴り始めるきっかけも、
「書いてみたらいいじゃない」
と言う父の声だった
その半年前に他界した、物を書くことを生業のひとつとしていた父
生前父から書くことを勧められたことは一度も無かったが、何気なく父に送ったメールに
「なかなか良いじゃないの」
と珍しく感想をよこした
そんな父の声が聞こえた気がして、今もこうして綴っている
父の言うところの「書く」にはまだまだ程遠く、ようやく文字を羅列し始めたところだけれど、
いつか
「なかなか良いじゃないの」
と言う父の声が聞こえる日を楽しみに、文字を並べていこうと思う
『声が聞こえる』
9/23/2024, 3:18:40 AM