紫乙

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海沿いの高台にあるカフェの窓から
1人で見る海が好き。
ここは、いつ来ても賑やかだから、のんびり、ぼんやりしながら1人を満喫出来る時は限られる。
この海は、私史上2番目に美しい海。
そんな海のそばが生活圏内とは、なんて贅沢で誇らしい羨ましい事ではないかと思う。
真夏の太陽が照りつける季節には、ウインドサーフィンで楽しむ人も多く。海産物のお土産物屋さんに立ち寄る、観光バスも訪れる。
最高の太陽があるその季節。賑やかなカフェで、誰かと一緒にいる時間も悪くはない。
けれど私は、あえて雨の日を待つ。
このカフェから見る風景は、雨の日の海が似合う。
雨が降るたびに、カフェから見える今日の海はどんなだろうな?と思い出す。
大きなカフェの窓に雨粒が流れ落ちる。
それを見ていたい。
なんだか寂しい人に見えるかな?
でも、本人は喜びで溢れ、ウキウキしているのだけど。
しばらくすると、雨は止んでいる。
大きなパフェも底をついてしまい、コーヒーも冷めたまま。
気づけば辺りは瞬きも出来ないほどの、大きな夕焼けに包まれる。
夏の夕刻ならではの風景。
オレンジ色に染まる海面。
まるで大きな水彩画を見ているような、それは人工的に作られた物のような美しさ。
この景色に出会えるタイミングなんて、めったにない。それを何度か見て来た私は、本当に運が良い。
雨の日の静かな時間。
最高の贅沢な時間。
久々、ぼんやりしたい。



4/12/2025, 9:30:21 PM