一筋の光
大抵の人は、神々しいとか救いの光みたいな想像しそうですし、言葉の意味でも光明的なものですが。
そこは皆さんにお任せして、私は逆に闇に閉ざされていく感じのお話を。
私が中学生の頃、今のように夕方ともなると外は暗くなりまして、5時過ぎには真っ暗になります。
そんな状況で一度閉じ込められたことがありまして。
まあいつものいじめですけど、ある施設の物置で片付けをしていた際に、外鍵を掛けられて出られず。
ちょうど窓も木陰にあるはめ殺しの窓で、照明も外側にスイッチがあるので付けられず。
当時は携帯電話を持つのは大人ばかりですし、私も光るものは持っていません。
唯一の光源は古びた入口の蝶番側の隙間から数センチの差すうっすらとした光。
闇に支配されずにすみ、すがるように顔を近づけ、開けてーーーと声を出すものの反応なし。
その光が支えだったのに、しばらくして一切消え闇の世界に。
そうか、外の電気も消えたんだ。
そう思い絶望感が襲った瞬間、いきなり扉がドンドン!!と叩かれました。
「誰かいるか!?」
それと同時にまた隙間さす光。
闇と光が交互に行き交い扉を叩く音に安堵した私は、いつの間にか気を失っていたそうです。
その後一度去った管理者さんが再度訪れ、鍵を開けて私を発見したらしく、気づいた時には家に帰っていました。
あの一筋の光が消えた瞬間の恐怖と、実は管理者さんが扉の前に立ったから光が消えたこと。
闇に救われたとも言えるような体験は、数十年経った今も忘れられません。
ちなみにその管理者さん。
私も声だけは聞いていて、勝手に管理者さんと呼んでいますが、誰かは知りません。
きっとそうだろうなと思っているだけです。
しかし管理者さんと思いきや、そんな人物誰も知らないし、あそこは普段誰もいないはずという後日談があるのですが……それはまた、別の話。
11/6/2024, 8:41:16 AM