彼とわたしと

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新学期になって、新しい友人ができて、もちろん君にも新しい友人ができた。その子はすごくスキンシップの多い子だった。私はそれが憎かった。これまで私が我慢していた君が嫌がることを、何も知らないと盾にしていたのだから。もちろん嫌がっているので少しは嫌われているだろう。けれど、論点はそこではなく、断りきれない君をいいことにその汚い手でべちょべちょ触るなということ。

その女がいつになっても憎く、”最低の悪魔”だった。ことあるたびにあの女といるんじゃないかと悩んでは、君はそんな人じゃないと正気に戻る。私が一番なんだと、自分に信じて思い込ます。

数日後、君と一緒に帰ると「新しい友達ができたか?」という話題になった。君は「できたよ、けど、スキンシップの多い子で。その子だけじゃないけどさ、あんまり話したくないんだよね。疲れる」ときっぱり言ってみせた。その軸がある君がすごく愛おしくて、私だけという優越感に酔ってしまった。今まであれほど想い悩んできた悪魔なんて塵とさえ化さない。君の愛しい一言で、思い出すことも無くなった。どれだけ嫉妬心に蝕まれたとしても、君への愛は揺るぎなく、君は”最高の天使”なんだと確信した日だった。

“最悪”

6/7/2024, 7:13:10 AM