『忘れられない、いつまでも』とは、なんと苦しいことだろう。
かつての自分の言動が、人を呆れさせたり、がっかりさせたり、傷つけたりもしたことを、私は忘れられない……いや。
そうじゃない。実際に忘れられないのは、人にそういう思いをさせてしまったのが、他ならぬ自分であること、その事実を受け止められずに、自分自身に失望して傷ついて、その痛みが忘れられないだけ、なのだ。
現に私は、私に呆れ、がっかりし、私によって傷つけられた人たちの詳細を思い出せない。ひどい話だと思う。
こんな私に出来ることはせいぜい、同じ轍を踏まないことだけ。
過去に対して償えることなんて、なに一つとしてない。
なのに。人の脳は神の恩寵により、忘却を少なからず嗜むものだから、私はきっと、自らの罪を、都合よく忘れてしまうのだ。
いつまでも忘れられない、という苦しさに負けて、私は私を、簡単に許してしまう。
だから、こうして覚えていられる、いましばらくは、忘れられない過去の出来事に対して、散々にもだえ苦しんで、後悔するべきなのだ。
本当に「いつまでも」ではないことを、夢見ながら。そして、そう願ってしまう自分に、罪悪感と嫌悪感を感じながら。
5/9/2026, 1:39:16 PM