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私は死に戻りをして、秋華から優衣になった。
私は前世の死者の錘を背負って生きなければならない。
私は今高校2年生だ。
今日は雨がざぁざぁ降っていて、帰るのも時間がかかりそうだった。なので私は四季停留所のバスを待っていた。………しかし、“四季”停留所か。確かにここは春夏秋冬の屋敷があった。だが、こんなのが身近にあるとは。
私がそう考えていると誰かがやってきて、ベンチに座った。私と同じ高校生らしい。細くて、白い綺麗な脚。まつ毛が長く、漆黒艶々のロングの髪。まさに美女。だがなにか見覚えが-
〝秋華〟
思い出した。私のお母さんだ。本当に似ている。
思い出した途端、その美女の顔は歪んで見え、みるみるまにまさに醜女。憎い顔つきになって見えた。
アイツさえいなければ。
私は道を踏み外さなかった。
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「お母さん!もうやめてっ!お願い…お願い…!」
『なんなの!この高貴な私に向かって!私は四季家よ!貴方達を守ってやってるの!』
「お母さん!殴るのはやめましょう!駄目-!」
『煩い!高貴な私の娘でも貴方は居なくていい!桜琥、千夏、未冬だって3歳には能力を扱えてた!なのにアンタはどうして!アンタは人を食わなきゃ生きていられないんだ!お前はいなくていい存在なんだ!なのに育ててやった!敬語を使え!このグズが!』
「ッ!……ご…めんなさい……!お母様…。グスッグスッ…」
『うじうじるさいねぇ!黙ってな!』
ドカッ!!!キィィン-!!
「いやぁぁっ!!痛いィィ!目玉が!目玉が!」
『お前にそんな赤い目はあってない!黙れ!』
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私の片目が失明したあの日。
私は全てを終わらせれるように、大戦争でわざと死のうとした。
なのになんで!
アイツさえいなければ!
私は目の前にいた母に似ていた人に一声。
「あの、私優衣って言います。少し話をしたいんです。出来れば誰もいないところで」
『あ、え……。はぁ、話ですか。わっかりました…。』
「ありがとうございます。じゃあ着いてきてください。四季電車の駅に。」
『あ、はい』
私は母に似ているやつを連れて四季電車の駅に着いた。もうすぐ電車が来るとアナウンスが入った。
ガタン……ゴトンガタンゴトン
私は、物凄い速い電車のタイミングを見計らって、母に似ている奴の背中を押した。
『えっ。いやぁぁッ!』
ドチャッ
電車は気付く間も無く、走り去っていった。
私は母の死体を見ていたような感覚だった。
その瞬間体が溶け始めた。
「あ……あ……。痛ィ痛ィ!うギャァァッ!」
強烈な痛みと共に私は降り止まない雨に命乞いをした
「ああッ!神様ぁッ!お助けをぉお助けをぉ!ウァァァッ!!!」
しかし、雨は答えてくれなかった。
私は降り止まない雨を母の血と感じ、2度目の人生を終わらせた。
5/25/2024, 10:01:50 PM