アリア

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世間はクリスマスムードで
街には色とりどりの電飾が飾られる。
並木道 駅 ショッピングモール
今は減ってしまったけど、
一軒家にもたくさん光っていて。
その横を歩いたり車で通り過ぎたり。


自分もそういった場所には何度か足を運んだ。
キラキラしたものが昔から好きだったから。
瞳に飛び込んでくるキラキラは目に焼き付き
写真の中に収まり思い出の中に仕舞われる。
その瞬間瞬間が大事で何度も何度も。


なんとなく大きくなってからもそうなるんだと思っていたけれどそんなことはなくその横を通り過ぎるだけ。
足を止めて見る余裕もなく
あぁ、今年も光ってるな、くらい。
それどころじゃ無くなったってのが正解だ。


大人になれば仕事もあり家庭も出来たりする。
子どもを授かればもう周りなんて気にしてられない。
もう少し大きくなってきたら落ち着くかな、なんて
淡い期待をして毎年通り過ぎていた。
今年もそうなるだろうと踏んでいたし、諦めていた。


「うわぁ」


先を行く子どもが足を止めた。
そして自分を振り返るとキラキラしたお目目で
花が咲いたように笑った。



「きれいだね!!すごい!!」



なにこれー!!とはしゃぐ子に
ポカンとした後(のち)
クシャリと破顔した。


「これはイルミネーション。
街をキラキラさせてみんなを笑顔にさせてくれる魔法みたいな光だよ」


「いるみ、ねーしょん…魔法!?」



「そう、でもねこれはクリスマスの時期にしかつかない特別なやつだから
サンタさんがおうちに帰ったら無くなっちゃうの」



「そっかぁ…。
あ!じゃあ写真撮ろうよ!いっぱいいっぱい!」



こっちこっち!と手を引かれポーズを撮って写真を撮っていく。久しぶりの場所で素敵な子と撮る素敵な瞬間。もやもやする心がブワッと一気に晴れる感覚に笑みを漏らした。



今年はいい年だった。
間違いなく。



だってこんなにも最高な瞬間があったから。



お題【きらめく街並み】

12/6/2025, 9:06:25 AM