日記帳を買った。
どこにも書けず誰にも明かせないことを記そうと思って。
ペンを買った。
秘密を書くには普通のボールペンじゃ味気ない気がして。
机に向かった。
日記帳を広げてペンを手に取り、「私は」と書き始めた。
私は気取っていた。日記の中だけでは素直でいようとしたのに。
ほら、綺麗な字を書こうと指に力が入っている。
どうせ誰にも見せないのに。
見せることなんてできないのに。
誰かが見てもいいように⸺
誰かに見せるつもりでいるように。
私は日記帳を閉じた。
ペン先を仕舞った。
本棚の一番下の段の隅に隠した。
もう開くことはないだろう。
2/8/2024, 6:09:49 AM