rororu

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『声が聞こえる』(創作:小説)

 “愛が消えるとは、こういうことか”と、実感した。

 僕は彼女のことが許せなかった。どうしても。
毎晩のように騒いで、僕の快眠を邪魔し寝不足にさせるくせに、僕が仕事している昼間は寝てばかりいる様子だった。
先日など、仕事から帰宅したら、お気に入りのフィギュアが壊れていた。オークションで競り勝って、やっと手に入れたレア物だった。

 “あんなヤツ消えればいい”と、心底思ったから、捨ててやった。あんなヤツ知るものか。

 程なくして、彼女は交通事故に合い亡くなった。

 そして、その日を堺に夜になると、どこからともなく声が聞こえるようになった。

僕は彼女を捨てたことを深く後悔し、申し訳ない気持ちでいっぱいだったから、毎晩、その声に耳を凝らし、聞き入るようになった。

 「にゃーん にゃーん」

 “おかえり ミケ ごめんな”

今夜もミケの声が聞こえる。

9/23/2023, 4:00:48 AM