夢を持て夢を持て
子どもの頃は本当によく言われる
でも夢を持たせておいて
その夢を現実でぶち壊してくるのは
子どもに対して酷な仕打ちであるとも言える
ある女の子がいた
天真爛漫で少し男勝り
スポーツ万能で困っていることもない
彼女は野球が好きだった
彼女には夢があった
「甲子園に出てプロ野球選手になる!」
小学生の彼女は母に言った
「野球部に入りたい!」
母は聞いた
「なんで野球部に入りたいの?」
彼女は言った
「甲子園に出てプロ野球選手になるから(^^)」
母は申し訳なさそうな顔をして言った
「やめときなさい」
彼女は返した
「なんで?他の男の子より私上手いんだよ?」
母は言った
「女の子はプロ野球選手になれないの」
彼女は何を言われているかわからない
母は続けた
「甲子園にも出れない」
彼女はようやく何かを理解して言った
「女の子だから出れないの?」
母は苦しげに言う
「そう…」
彼女はパッと顔を輝かせて言った
「皆下手だから出られなかったんだよ
大丈夫、私が初の女性選手として出てみせる!」
母は落胆して言った
「ルールで女の子は出れないって決まってるの…」
彼女は現実を知った
「おかしいよ。そんなのおかしいよ!
女に生まれたからできないの?
じゃあなんで女に生んだのさ!
女になんて生まれてきたくなかった!
なんでこんな体に産んだの?!
産まないでくれた方がよかった!」
母は苦痛に顔を歪めそうになったが、その顔を見せることはなかった
夢を描け
5/9/2025, 10:38:18 PM