秋雨ノ源

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空を見上げると
灰色の雲が霞むほど先の先まで
広がっていた

青空なんてどこにも見当たらない
曇天が悲しくなるほどあるだけだ

窓際でそんな空を見ていると

ぽつり…ぽつり…

から

ザアザアと周りの雑音を
消し去るほどの
雨が降り始める

「雨、降ってきたな」

天気予報を見てみると
今日の夜中までずっと雨模様だった

「図書館に行こうと思ってたけど止めとこう」

読書感想文を作るために
丁度良さげな本を探しに行きたかったが
こんな雨じゃ行く気も起きない

「はぁ…」

軽いため息。
見上げる空。
降りしきる雨。
視点を下げると
雨樋(あまどい)から流れ出る水が勢いよく
用水路へと流れていく。

私はパソコンを立ち上げ
私の物販サイトを開く

【読書感想文、代行・写し 丸得屋】

私は、本日のお知らせを投稿する。

「本日は生憎の天気模様の為、
新作の読書感想は投稿できません。
主の気分が乗らないのが9割ですが(笑)」

お知らせを載せたらパソコンを閉じ
また窓際に移動し空を見上げる。

「お休みをくれてありがと、雨さん」

降り止まない雨

喝采の様な雨音に
耳をすませ
目を閉じる

そんな日があってもいいよね

雨音広がる室内に
スマホの通知音が混ざった

確認するとメールだった。

【雨ふる本屋 が購入されました】

私はふっと笑みを零した。

「ホントに雨、様々だね」

5/25/2024, 10:32:21 AM