私はオシャレな帽子を貰った。これまでオシャレなんてで着てこなかったから嬉しかった。14歳の誕生日プレゼント。14年間で1番と言っていいほど嬉しかった。買ってくれたお父さんとお母さんには感謝しかない。だって、こんなにも可愛くて、美しくて、私のいい所だけを見せてくれるような、そんな帽子だったから。でも、その帽子を貰ってから3年間が経ち、その帽子をかぶる頻度も減ってきていた。少し色も褪せてしまったし、外に出る機会も減ってきていてしまったからだ。まぁ、これまでもそこまで外に出る方のタイプじゃなかったから、そこまで問題は無いんだけどね。でも、まるで小説の中の主人公のような気持ちになれるその帽子は私の大切な宝物であることに違いはなかった。でも、そろそろその帽子も被れなくなってしまうらしい...手術をしないといけないから。だから、約17年過ごしたこの病室ともお別れかもしれない...そんなの寂しいね。ついに明日はその手術の日。私は少しだけの決心を胸に眠れない夜を過ごした。
「ゆっくり眠れたかい?」
「正直...眠れていないです。」
「そうだよね、不安でいっぱいだと思う。でも、僕はきっとこの手術を成功させる。だから、安心して欲しい。」
「...ありがとうございます。」
「では、そろそろ手術の時間だけれども移動、お願いできるかな?」
「はい、えっと...あのー」
「ん?大丈夫かい?」
口ごもる私に先生は少し戸惑う。でも、ずっと私は何事もないように言った。
「この帽子、かぶっていってもいいですか?」
【帽子かぶって】
1/28/2025, 11:31:29 AM