#沈む夕日
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「夕日がきれいですね」
鮮やかな茜を映す海へ、そう語りかける
”幸い人影が見えないから、変な人扱いされなくて済む“
...と、寂れ始めたことへの現実逃避も少々
ザリっと音を立てながら歩き出せば
頬を撫でる潮風が心地良かった
まぁ、前と違って
片手が冷えてしまうのが、困りものだけれど
手袋のない片手を見つめ、
貴方がこの手を握ることもないのに
「馬鹿だなぁ」と他人事のように笑った
少しして、満足して
くるりと向きを変えて、石垣の方へ足を向けた
背後の空が、答えを出してくれる訳もなく
そのまま、茜は沈んでいってしまった
4/7/2026, 11:21:47 AM