『欲望』
あ、殺さなきゃ。
目の前でたおやかに舞う彼女の肢体を見て、私はそう思った。どこまでも純粋で美しい彼女に、少しでも邪な感情を持ってしまった私を、ここで殺さなきゃ。と。
あの指を絡め取ってしまったら。あの髪に口づけを落としてしまったら。この世の何よりも真っ白なあの純白を、この手でズタズタに引き裂いて汚してしまえたら。
そんな欲望ごと、私は私を。
柵の向こう側、彼女の必死な叫び声が聞こえた。急速に遠のいていく視界に映った彼女の顔は、零れ落ちる透明な雫と悲痛の色で彩られていた。
…それが、私には、何よりも美しく見えて、
3/1/2026, 11:07:42 PM