わをん

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『1つだけ』

給食に出てくるシュウマイと八宝菜には厳しい掟がある。それはシュウマイとグリンピースは必ずセットであること。そして、一人につき一つのうずらのたまごが入っていること。
「はい、全員自分のお皿確認してくださーい」
担任の教師の号令で各自のシュウマイと八宝菜のチェックが入る。配膳を担当した給食係たちは緊張感を漂わせながら自らの皿をチェックしていた。シュウマイは目視で確認できていたが、八宝菜は配膳係の技量が問われる。もし全員均一に配られていない場合は給食係にそのしわ寄せがいくのだ。
「先生」
一人の生徒が挙手をして、うずらのたまごが入っていないと主張した。悲壮感で怯えた目をする給食係たち。教師はその生徒のもとへと歩み寄り、優しげな目をして尋ねた。
「先生もチェックをするけど、いいかな?」
今度は挙手をした生徒が怯えた目になった。教師がマイ箸を取り出して皿をつつくと、ないはずのうずらのたまごが野菜の山から発見される。
「たまごはひとりにつき1つだけだからね」
項垂れる生徒。ほっと胸を撫で下ろす給食係たち。教師は颯爽と自席に戻り、声高らかに宣言する。
「それではみんなでいただきましょう。いただきます」
「「「いただきます」」」

4/4/2024, 4:11:39 AM