わをん

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『イブの夜』 (フランダースの犬)

荒れ狂う吹雪がひととき治まり、厚い雲の切れ間から月明かりが降り注いだ。大聖堂の明かり取りの窓から差した一筋の光は祭壇画の全貌を顕わにさせ、幼いころからその絵をひと目見たいと願い続けていたネロの目に驚きの光が満ちた。月明かりそのもののような涙が一筋流れてきらめきながらこぼれて落ちる。傍らにうずくまるパトラッシュの冷たくなりかけた体を抱きしめながら、ネロは神に感謝の祈りを捧げずにはいられなかった。

12/25/2023, 3:40:57 AM