そっと両手のひらでカーブに沿って包み込んでみる。じんわりとした温かさが陶器を伝って熱を届けてくれた。ふんわりと茶葉の香りが鼻腔を撫でる。
それだけで少し笑顔と余裕が生まれる気がした。
紅茶をいれて飲む。
ただそれだけの時間にしたらたった10分の毎日のルーティーン。
お湯を沸かして、お茶を選んで、カップを温めて、茶葉に熱湯を注いで、砂時計をひっくり返す。慣れ親しんだ一連の動作。考えるより先に手が動くけれど、ふとした瞬間に広がる香りが心を癒してくれる。
いつから始めたことなのかは覚えていない。最初に丁寧なお茶の入れ方を知った。味の違いはそれほど分からないけれど、色味や飲んでいる最中の冷め具合が違う上に穏やかな心地になれるとそう思ったから。一日の1/480を費やすと決めた。
「今日もいい日になりそう」
そう、明るい気持ちで今日をスタートできるから。ちょっとした贅沢は私を前向きにさせてくれる。
6/15/2025, 10:05:31 PM