あひる

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        午前1時の緊張。

 
 やっと隣で規則正しい寝息を立て始めた彼女を起こさないように、そっとベッドを抜け出した。
 
 ワンルーム。
 音を立てずに暗闇の中、机の引き出しを開ける。
 あらかじめ用意しておいた糸とペンを手にして、彼女のブランケットを少しだけめくる。
 その細い薬指に糸を巻き、ペン先を糸にあてた。
 すぐブランケットを戻し、糸とペンを引き出しにしまう。

「……ん? どうかした?」

 ――やばっ。

 後ろから彼女の声がした。
「あ、トイレ行ってた」
 ごめん、ごめんと言いながらベッドに入る。
「寒くない?」
 寝ぼけた声で彼女が言う。
「大丈夫だよ、おやすみ……」
「ん」

 ――びっくりした。

 彼女が再び規則正しい寝息を立て始めるまで、オレに寄せてきたその体を抱きしめた。
 気づかれただろうか? 
 まだ心臓がドキドキしている。


 お題:眠れないほど

12/6/2024, 3:27:48 AM