愚痴ばっかりになったらごめん。
そんな書き出しだったのに、愚痴なんてひとつも無かった。なんというか、諦めに似たような明るさに満ちていた。
最後の言葉はありがとうだったって。看護師さんに、見舞客に、家族に、この世に。楽しかったと言いながら。本当のところはどうなんだろう。本人にしかわからないことだ。
自分に宛てて書かれたものとお揃いの、五つの封筒を眺める。託された違う宛名。住所はわからないけど、僕はこれを届けなくてはならない。
引きこもってる場合じゃなくなった。君の文字をなぞり、心の中で話しかける。さあまずはどこへ行こうか。
『どこへ行こう』『秘密の手紙』
12/5/2025, 9:57:43 AM