オオカミ

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遠くの街へ

「街」と「町」の使い分けが分からない。多分、「街」の方が人が多くて都会的なんだろうな、とか思いながら使い分けている。
 遠くの街へ行こうと思ったことはあまりない。自分が今住んでいる環境に満足してしまっている部分が大きい。それなりに都会的で、けど都会に比べたら人が少ない、街と町の間みたいなところに住んでいる。ただ、毎日訳あって電車で1時間弱の距離の街へ出ている。そこは都会も都会、人は多くてビルも高い。私みたいな人間は気圧されてしまうような街だ。ここは遠くの街と呼べるのだろうか。距離としてはそこまで遠くなくとも、精神的には遠くの街かもしれない。自分の人生には縁のない場所だと思っていたから。そういう意味でなら、私は既に遠くの街へ出ていってるのかもしれない。
 そもそも遠くの街ってどこなんだろうか。新幹線でも使わなければ辿り着け得ない街のことを指すなら、私が毎日通っているここは遠くの街ではないだろう。じゃあ仮にそんな距離の街のことを指すなら、遠くの街へ出ていって何をしようと言うのだろう。観光?それも違う気がする。遠くの街へ行きたいと思う時、私は地に足をつけようとしていない気がする。もっと夢想的で、理想的などこかへ行こうとしている気がする。遠くの街にはきっと名前なんてない。この世には無いどこかなんだろう。
 もし、遠くの町がこの世には無いどこかのことなら、話は変わってくる。そんなところ毎日のように行きたいと思っている。でも叶わないんだろうな。遠くの街へ行きたいと願いながら、そこそこ遠めの都会で毎日を過ごしている。

2/29/2024, 5:49:23 AM