てふてふ蝶々

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銀行強盗が雪山に逃げ込んで、寒さに耐えきれずに現金を燃やして暖をとったって言うお話あるよね。

私の実家は貧しかったからお金を燃やすなんてと幼心に思ったけれど、冬の寒い日にストーブがつけられなかった日には何か燃やしてでも暖を取りたいと思った。

私は勝気で自分で言う事ではないけれど、美人。
貧しい生活だけは嫌だの一心で勉強し、良い大学も出た。その後もとんとん拍子で優良物件と言われる男と結婚。
家と言えないほどのお屋敷に住む。
広すぎる庭は定期的に庭師が管理してくれる。
食品は無農薬で安心安全な物を定期宅配。
月に一度来るデパートの外商さんに欲しいものを言えばその日のうちに届いたりする。
美容師もエステも、なんなら病気の時すらその手のプロが来てくれる。

子供は結婚した翌年から次々と生まれ、年子ばかりの子沢山。

子育ては母の仕事と、姑にはマリア様の様な嫁を求められ、夫には常に綺麗でいて欲しいと言われる。

最も困るのが子供の教育。

有名幼稚園に通わせる為の幼児教室は胎児の頃から始まる。
最低でも有名私立小学校。
子沢山な私だけど子育ては私の仕事とばかりの姑。
そうやってもらって育った一人っ子の夫も姑と同じ意見らしい。

ご飯はお母さんの手作りで。
お母さんが手作りした幼稚園道具で。
洗濯物のたたみ方、箸の持ち方はお母さんが教えるもの。

寝る時こそ親子の時間ですとばかりに日本だったりグリムだったりの童話を子供が飽きるまで読む。
次の子が生まれ何年も何年も何度も読む。

頭がおかしそうになる。

私の望むお金に困らない暮らしは手に入れた。

失ったものはない。

ただただ今、欲しいものはと聞かれたら人権しかない。

私は人でありたい。

7/21/2023, 1:48:48 PM