「きっと明日も」
小さな機械たちが住みつき始めてしばらく経つ。
ふたりとも子どもなうえ元はと言えば双子だから、こんな表現をするのは変だけど、「小さい方」の兄はおもちゃで遊んだり時々自分に抱っこをねだったりして全力で甘えん坊をしている。
「大きい方」の弟?はといえば、「仕事場」で何かしているらしい。まあ色々あったみたいだから忙しいんだろう。
ふたりはそれぞれ、離れ離れで、ひとりぼっちで過ごしてきた。
兄は記憶を消されるウイルスに感染したうえ、当時では排除する術がなかったからアーカイブ化──実質的な死を無理矢理迎えさせられた。
きっと明日も、また家族に会えると信じながら。
弟は失った兄を取り戻すために全力でなんでもやった。父とともに、必ず家族揃って暮らせる日を迎えるために。
きっと明日も、ふたりで努力できると信じて。
なのに、ふたりが望んだ「明日」は、永遠に来なかった。
随分時間はかかったみたいだが、ふたりは何百兆年ぶりに再会できた。望んだ形ではなかったのだろうけれど、ふたりとも安心した顔で接してくれる。
……少々やかましいけど、小さな子ども達にむぎゅむぎゅされるのも悪くない。むしろ……自分を信頼してくれてるみたいで、ちょっと嬉しいよ。
こんな日がきっと明日も来るよな?
そう信じて、夜空を見上げた。
10/1/2024, 3:59:19 AM