センチメンタル・ジャーニー
ある日突然不老不死になった。
別に望んでなったわけじゃない。
気づいたら自然にそうなっていた。
違和感に気づいたのは何も自分は変わらなかったのだ。
周りは歳を重ねていく。
それからだ、当てもなく根無し草になった。
暫くは街に居着く、そしてその街で暮らす。
しかし誰かと仲良くなっても違和感を持たれる前に去る。
そんな生活を続けて何年が経っただろう?
恐らく自分の親類は亡くなったのだと思う。
親しい人の連絡は断ち切った。
こんな姿の変わらない化け物なんて忘れてほしい。
自分がこの世に生を享けてから百年は経ったと思う。
相変わらず自分は青年の姿で時が止まってる。
もう自分のことを覚えてる人は故郷には居ないだろう。
大切だった家族や友人のことが懐かしくなった。
根無し草になってから何年経つか分からない。
だから自分が生まれ育った故郷に旅しに行こう。
知ってる店も家もきっともう無いだろう。
当たり前だ数十年は経つのだ。面影はきっともう無い。
それでも行こうと思ったのは皆を忘れたくなかったから。
あんなに忘れたくなかったはずなのに、顔や匂い声がどんどん記憶から薄れていく。
仕方ないけど、それはやっぱり寂しく悲しいのだ。
では行こう。思い出を探す旅へ
9/15/2025, 12:22:40 PM