「⸺。以上のことから、最高決議にて非能力者の社会的地位向上推進政策を可決いたします。全ては我が国の愛と平和のために。それでは閉会いたします」
椅子に座っていた偉そうな人々が、わらわらと立ち上がり退出し始めた。
それを横目に、ふう、と私は息をつく。
世論では、決議前に公開されたこの法案に多くの批判の声が寄せられた。しかしその大半が能力者であり、彼らは自分達の優越感を侵されることが嫌なのだ、という理由から法案の可決が可能になったのである。
ばかばかしい。何が「愛と平和のために」だ。
非能力者の社会的地位向上だなんて言葉は良いが、客観的に考えれば、あまりにも優し過ぎる待遇である。優し過ぎて吐きそうなくらい。
私は非能力者である。政界に入ったら「非能力者の星」「非能力の開拓者」なんて持ち上げられたが、私は単純に「能力者・非能力者など関係なくみんなを幸せにできないか」と思って政界を目指した。
どうすれば、能力者も非能力者も同じように生活しやすくなるのか。
それを考えて実行していくことが、本当の「愛と平和のために」ではないのか。
ばかばかしい。
3/10/2026, 11:50:22 AM