謎い物語の語り手

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【伝えたい】

フローリングに横たわって、
雲の隙間の光を見る。

このネクタイも結局、
自分を空に押し上げることはない。

「面倒くさいなぁ」
呟いた言葉は冷たい空気に消えていく。

ふと思い出した。数年前、自分に書いた手紙。
追い詰められていた時期に書いたものだ。

棚を探ってそれを見つけ出した。
期待せずに開いた紙に水がぽたぽたこぼれ落ちた。

『命を絶とうとしてるんじゃないか。
ここまでよく頑張ったんだな。』

「なんだこれ」
乾いた笑いが漏れた。

記憶がよみがえる。
数年前、泣きながら机に向かっていたことを。

紙とペンを取り出した。
未来の自分に伝えたいことを書くために。

2/12/2026, 4:03:22 PM