文月

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『秘密の手紙』

机の引き出しの奥に
薄い青色の封筒が眠っている。

毎年、誕生日が近づく頃、ふと思い出す。

封筒の表には、達筆な文字。

あの日、私の心を何度も締め付けた筆跡
破らないよう慎重に開くと
折り目が増えた便箋が現れる。

『 文月へ

誕生日おめでとう。
いつも僕の話を聞いてくれてありがとう。
しんどい時、支えてもらってるよ。

君が笑ってくれると、俺も頑張れる気がします。
これからも、よろしくね。

大好きだよ、〇〇より。』


読み返すたび、胸がじんわりと温かくなる。
あの頃はとても幸せだったな
と読むたびに噛みしめる。

「もしかしたら」と期待して、
手紙の意味を何度も探して
結局、気持ちは伝えぬまま、時間だけが流れた。

今の私たちは、友達だ。
恋人ではなく
理解者として並んで歩ける距離に落ち着いた。

それを寂しいと思う日もある。
でも、この関係が心地よいと思う日も増えた。

私は手紙をそっと封筒に戻し、引き出しを閉めた。
あの頃の想いも、悩みも、ぜんぶ一緒にしまいながら。

でも、これは私の小さな宝物だ。
他の誰も知らない、二人だけの秘密の手紙。
今は友達として隣にいられる幸せを噛みしめる。

手紙に宿った淡い恋は、今も消えてはいない。
けれどそれは、そっと心にしまっておく。
これからの私たちのために。

12/4/2025, 10:37:19 AM