—伝えられなかった想い—
「じゃあ、元気でね」
駅のホームで、姉は言った。
大学が他県なので、遠くで一人暮らしを始めるそうだ。
「うん。お姉ちゃんも、頑張って」
最後に言いたいのはこんなことじゃない、と心の中の自分がわめいている。
私は、姉が大好きだ。
十も年が離れているのに、私とたくさん遊んでくれた。
電車のドアが閉まった。キャリーケースを持った姉が、こちらを向いて手を振っている。
「ありがとう」
そう言いながら、私も手を振った。
言いたかったのはこんなことでもない、とまた心の中の自分が叫んでいる。
電車はやがて見えなくなった。
行かないでほしかった。
そして何より、さびしい。
姉がいなくなった今になって、ようやく自分の気持ちと涙が溢れ出してきた。
お題:溢れる気持ち
2/6/2026, 6:09:44 AM