彗星

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題:挨拶の星くず

✰ある朝のこと

 今日、マリオカートに新入生が入ってくる……らしい。
 名前は知らない。マリオさんによると、「あんまり喋らない子だから、ロゼッタ、色々頑張って!」とのこと。
 色々頑張って、って……。作戦たてる時とか?そんなのどう頑張っていいか分からないよ〜。
 でも!先輩として後輩のお手本にならないと!気合い入れて頑張ろう!

✰新入生

 いよいよ新入生が来るという時。会場はざわついている。
 ほら、よくあるあれ。どんな子かなーとか、仲良くできるかなーとか。
 ……お、来た。トントンと叩いてマイクの調子を確認してる。律儀だな。まぁ、私もするんですけど。
「……リンクです。今日からマリオカートのメンバーとして頑張っていくので、先輩の皆さん、どうかよろしくお願いします」
 おぉ、しっかりしている。「頑張っていく」って宣言してる時点でもう凄い。だって皆さん、言ったこと実行できる自信ないから「頑張っていこうと思います」とかですし。
 会場から拍手。女性メンバーは私を除いて全員「イケメンね!」「やだカッコいい♡」と言っている。確かに顔は整ってる。かなり。でも魔女である私は恋愛に超絶疎いのです。
 ……あ、そういえば。私は新入生が来ると挨拶代わりの星くずをあげようって決めてるの、知ってました?何も持たずに挨拶ってちょっと……ってなるんです。
 この子を今日から私が引き受けるのね。……会話難しそう。だって無表情だし……。上手くやっていけるかな。

✰リンク

 まずは挨拶代わりの星くずをあげにいこう。
 えーっと……何処だ?いないなぁ。あんな女性に人気なら目立ちそうなんだけど……。かれこれ30分、見つからないです。
 あっ、居たーーー!!やっと見つけた!というかなんでウーフータウンの中央の庭に腰掛けてんの……。
「リンクさん!」
 少し大きめの声で話しかけたけど……あ、気づいた。
 リンクさんの目の前に来て。リンクさんも立った。背小さいな。160cmくらいかな?ちなみに私は215cmです(よく「背高っ!!」てびっくりされます)。
「……何でしょう?」
 怪しむような目やめてほしいな……。マリオカートの正式なメンバーなのに。
 警戒されてるだろうけどわざと無視して綺麗にラッピングしてきた星くずを渡します。
「これ、挨拶代わりでなんですが、どうぞ」
 正直言って、緊張した。だってこの子が初めての新入生なんですもん。
「これは……?」
 予想通りの返答。まぁ、そうなりますよね。
「星くずです。硬そうにみえますが、中は柔らかいので大丈夫です。味は……甘いハチミツの味がします」
 ゆっくりと、丁寧に教える。初見の人には普通に言っても分からないだろうから。
「あ、ありがとうございます。ロゼッタ……さん?」
 名前覚えてくれたんだ!小さな歓喜。
 私は去る前に、こう一言。
「私が貴方を任されたので、くれぐれも逃げ出さないように」
 リンクさんは不思議そうな顔をしていた。
 寡黙な新入生と上手くやっていけるかという不安の中に、楽しみも混じっていました。

                                                           ✰『挨拶の星くず(リンク編)』を書こうと思っています!

5/29/2025, 9:17:26 AM