お前を英雄と称える事は絶対に無い。
お前とワタシが分かり合える事は絶対に有り得ない。
お前に許されたいとも思っていない。
お前がワタシを許すとも思っていない。
他に方法が無かったのか。多分あったのだろう。
そんなに俺が怖いのか。怖くないわけがないだろう。
自分が消えると分かっていながら、それを受け入れるだけの強靭な精神を、一体どれだけの人が持っているのか。
アンタはそれでいいのか。
瞬間、交わされた瞳が無言の内に訴える。
質問には答えない。
いつかお前が寄越した言葉だ。
ワタシはこの生き方しか知らず、他の生き方を知らない。お前のようにはなれない。
お前になら殺されても仕方ない。心の底からそう思う。この身を引き裂いて、海にバラ撒いて、最後に唾でも吐いてくれ。
ワタシの望みは叶うことなく、言い出せなかった言葉は胸の奥に押し込められる。
「すまなかった」
届くことの無い言葉は青い海にポチャンと落ちた。
END
「言い出せなかった「」」
9/4/2025, 3:19:47 PM