「バカお前!はよ身を守れ!!」
「oh...」
隣の家のよっちゃんは心配性だ。
どれくらい心配性かと言うと、
「えっとね、今オレ、おはよう今日は快晴だね!って挨拶したじゃん?」
「ああ、だから早く身を守れと警告した」
「うん、そこの繋がりが分からん」
「知らんのか!快晴ということは日光を遮るものがほぼ無いんだぞ!光化学スモッグ生成し放題じゃないか!」
「あっふーん」
これくらいである。
マスクに帽子にゴーグルで登校しようとするもんだから、注意報も出てないしスモッグの方は大丈夫だ、それより不審者認定されて職質されるか補導されて遅刻する方がリスクがあるって説得して。
やっと玄関から引っ張り出したよっちゃんの青い顔。
「あんまり遅くまでネットしてたらダメだよ」
「あ、ああ、そうだな。ブルーライトで目をやられて失明しかねないからな」
「うーん」
心配ごとがあるからネットで検索して、関連ワードからさらに検索して……の繰り返し。もう中毒みたいなものだから、無理やり止めさせるのも良くないけど、良くないけど。
「よっちゃんさぁ……うーん」
「なんだ」
「…………空綺麗だよ」
「は?」
「ほら」
新興住宅地を抜けて、町を見下ろす坂の上。
ありきたりだけど、雲ひとつない青空っていいもんだよ。
「ま、まあまあだな」
「まあまあなら、良すぎず悪すぎずで、ちょうどいいでしょ?」
「………………そうかな」
「そうだよ。ほら、がっこ行こ」
「うん」
#快晴
4/13/2023, 9:43:50 PM