Anemone

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『奇跡をもう一度』#10

ヘマをした。僕は高いところから落ちたらしい。何故落ちたのかは思い出せないがそこそこ高さがあったらしく、気づいたら病室だった。窓から柔らかな日の光が差し込み、その光を緩く遮る淡い色のカーテンが風に煽られてそよぐ。お日様の映る波みたいだな、と思った。カーテンが泳ぐ姿を見ていたら眠くなってきてもう一度寝ようと布団を引っ張ろうとして気がついた。ベッドのすぐ横で椅子に座って寝ている君がいた。けれどその顔には涙の跡がついていた。きっと心配してすぐ駆けつけて、ずっとそばにいてくれたんだろう。君には心配をかけてばかりだった。君を喜ばせようと頑張って、それで何度君を心配させて泣かせてしまったか。君の笑顔が1番好きだから。出会った時の、花の咲くような笑顔がもう一度みたいな。
なんてね。

10/2/2024, 2:56:25 PM