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「遠い鐘の音」

ある日
雪がしんしんと降っている

下は雪の絨毯で真っ白である
誰も家から出ないくらい 
寒い日

ミラは街の中で
温かい食べ物を売っていた

「よう、ミラ!
 ホットコーヒーを1杯くれ」
「あら、オスカーおはよう
 ホットコーヒーねOK」

友人のオスカーは会社員で
毎日、私の店の前を通り
必ず何か頼んでくれる

温かい食べ物や飲み物は
人の心も温めるようだ

「オスカー、良い1日を!」
「ありがとう、ミラ!」

いつもの挨拶をして
オスカーは会社に向かった

すると声をかけられた
「おはよう、ミラ」
近所のポールと言う子供で貧しくて
いつも食べる物がないらしい

「ごめん、お金がないから
 今日もお店を手伝って良い?」
「ポール、しょうがないね
 お客さんに商品を渡す役割をやってね
 それから、元気に挨拶して」

私はただで商品を渡す事はせず
ポールに店で働いて貰って商品を渡していた

「いらっしゃいませー」
ポールは精一杯の声を出して挨拶をする

一人の男性が店に寄った

「おはよう、ミラ、ポール
 今日もホットコーヒーとホットサンド一つ
 頼むよ」
朝に2番目に来たお客はビリーだった
ビリーは陽気な会社員だ 

「おはよう、ビリーさん
 ホットコーヒーとホットサンドだよ」
ポールは商品を渡した

「ポールは良い子だな
 大人になるのが楽しみだ」

この店に来る客は陽気だ
ミラはポールに良い大人を見て
大人になって欲しかった

しばらくして朝の通勤時間が終わると
ミラはお手伝いをしたポールに
とっておいたホットチャイとホットドッグを
手渡して言った

「はい、今日の朝ごはん
 家でお母さんと食べてね」
「うん、ミラありがとう!」

遠い場所の鐘が鳴り渡る
ポールは学校に行かなくてはいけない

雪はしんしんと降っている
雪にポールの小さな足跡がついて行く

ミラは今日も働き
変わらない日常を過ごしている
ミラは幸せは小さくて良いと
掌の上の雪の結晶を見て思うのだった




12/14/2025, 12:17:49 AM