とある日の休み時間のこと。
もぐもぐとご飯を咀嚼している私の前で、友達が何やら細長い紙に文字を書いている。
「何してんの?」
「願いごと書いてんの」
あぁそういえば、今日は七夕か。と黒板の日付を見て思い出す。高校生になって縁遠いものになり、すっかり忘れていた。
……にしても書くのが早くないか?
「早くないとだめなの」
私の問いにそう答えて、友達はにっこり笑う。
「どうして?」
「願い事ね『織姫と彦星が会えますように』って書いたんだ。だってほら、一年に一回しか会えないのに、ダメだったら可哀想じゃん?」
ちらりと窓を見やると、お世辞にも晴れとは言えない微妙な天気だった。
「晴れるといいなぁ」
友達が笑うのにつられて私も笑う。
きらきらとした天の川のような、純粋な友達の瞳が、私は好きだ。
そんな友達の側に、いつまでも居たいと私は願った。
7/7/2023, 11:57:34 AM