どうしても、君は行ってしまうの?
君の走る影を追いかけるけど、身体が徐々に重くなっていって、どんどんその影が遠くなっていく。
君の影が地平線の一部になったとき、もう君を追いかけることはできないと悟った。
それでも、君の影を探し続けた。
ときには、君を見つけるために、難しい計算式を解こうとしたけど解けなくて、解答例をみてもわからないままだった。
何日か前、夕焼け空が田んぼの水面に映ったときに、君の影が一瞬だけ見えた気がした。
その夕焼け空は、君が昔描いた僕の似顔絵に似ていた。
僕は、その絵をどうみても似顔絵にはみえなかったけれど、君は僕のためにこの景色を描いてくれたんだね。
この夕焼け空をみて、幸せで、少し哀しい気持ちになるのは、君のこの絵がそうさせてきたんだね。
時間は未来から過去へ、流れるなかで、そのうち答え合わせはできるから。
生きるに解答例はないから。解答例をみる必要もないから。
だから、今はただ、この夕焼け空を眺めて、なにもない空間のなかから覗いている君が思わずその空間から出てきたくなるような、そんな日を思い出す。
___________________________どうしても…________。
5/19/2025, 1:52:06 PM