義務や権利という言葉で行動原理を表せるのか。強い春風にも掻きけされることなく、むしろその中に溶け込み、柔らかさを保ったまま声は届く。声の持ち主はどこか遠くに、誰も待たず誰からも待たれないまま、今も風のなか立ち尽くしているのだろうか。遠雷という季語がある。私は今日、夜行列車に乗る。夏は近い。でもまだ春のなか、果てゆく春を追いかけて、私は今日、夜行列車に乗る。遠い声が私を押す。吹き付ける春風に私も乗り込む。
4/17/2025, 4:10:00 AM