愛おしい君の声が聞こえる。
その声をもっと聴きたくて、俺はゆっくりと目を開いた。
彼女は俺が起きたことに気がつかないから、彼女のメロディは終わらない。
俺の知らない曲。
でも彼女の優しい歌声は、心地好くて、穏やかで、やっぱり愛おしいんだ。
俺はこのまま彼女の声を聴きたくて瞳を閉じて、自然と彼女の手に自分の手を重ねた。
彼女はピクリと動き、歌声も止まる。
俺は特に動くこともなく、歌声が再開されることを待った。
「ふふ」
彼女が小さく笑った……のかな。
しばらくすると、もう片方の手が俺の手に乗せられ、ゆっくりと撫でられる。
そして、また優しい歌声が奏でられた。
愛おしい歌声と彼女の温もりが心地好くて、俺はもう一度眠りについた。
おわり
三九三、君だけのメロディ
6/13/2025, 2:04:35 PM