KOTOHA

Open App

些細な口論で、どうにもできない苛立ちを抱えた私は、思わず外に飛び出した。
今日こそは私は悪くない。
理不尽な八つ当たりは勘弁だ。
ちゃんと完全防備で家を出るあたり、自分は冷静だなと思う。

近くの本屋で時間を潰して、遅くまでやってるお店で珈琲を飲んで気持ちを落ち着ける。
腹を立てて家を出たはずなのに、一人を満喫できるご褒美時間にもなっている事に戸惑いつつも、涙もでてこなくなったから家に帰ることにする。

帰ったら何か言ってくるだろうか。
ああ言おう、こう投げかけよう。
でも正直言えば寝ていてほしいな。
あれこれ思い巡らせながら帰宅したのに、当の本人はゲームをしながら
「おかえり」
何食わぬ顔。

一体何なんだ、あっという間に再び頭に血がのぼるのがわかる。
私がどれだけ傷ついたか。言ってはいけない台詞を口にしておいてよくもまぁ。
なかったことにしようとしているなんてありえないし、そこまで思ってないとかならその神経を疑う。
顔なんか見てやらない。口もきいてやらない。
何故私がそうするのか、ちゃんと理解したらいい。
言葉では伝えたから、後は態度で示すのみだ。

せっかく買ってきたポテトチップスは、こっそり粉々にして部屋の片隅に。
ごめんねポテチ。君に罪はないから、最悪の場合には料理に使うつもりだからね。


12/7/2022, 1:42:39 PM