あの人は太陽のような人だった。だから、僕のもとを離れて天国に行ってしまった。あの人が天国に行ってから数十年。愕然と空いた心の穴は1ミリも埋まっていない。そろそろ僕も潮時だ。あの人は太陽になったも同然だから、僕は月なんだろうか。でも、月だけは嫌だ。月と太陽はほとんど交わることがないから。月になるくらいならば、そう思いながら病院を抜け出し森の泉のほとりに立つ。光輝く月を見上げる。月に、月になるくらいならば、「シリウスになりたい」
8/6/2024, 10:28:11 AM