荒涼とした砂の海で、ただ一輪を愛した
戻らない背を追うように枯れたけれど
繋いだ命は風に乗り
やがて血を分けた緑の大海原があなたに捧ぐだろう
不器用な英雄の詩
運河の底に沈もうと、けして錆びぬ太陽の花
漫ろ雨が弾く音色
閉ざされた夜に、最初で最後の告白をした
永遠を願う傲慢も、その刹那だけは許される気がして
硝煙に咲いても陰らぬ白銀のあなたを
願っても、願っても、肌を刺す終わりの続き
ただ一度落とされたひとひらの記憶はまだ褪せない
綱を渡るような恋だった
初めから墜落し続ける、救いようのない詩だった
ならば破り捨てる
脈打つように当然に
荒天の船出に、ダイヤモンドを置き去りに
それでも交わらないはずの音を盗んで
あなたと逆立つ譜面に飛び跳ねたい
これを大罪と呼ぶならば、奇想の雷霆で踏み荒らそうか
裏切りの末路、無様な饗宴
椿のヴェールを脱ぎ捨てて
こんな狂い咲きがあってもいい
蕚を踏み越え、あなただけを連れて
壊れた車輪は咽び泣き、絶えずどこまでも運ぶだろう
目を閉じて久しい、お前を乗せて
(君と僕)
4/11/2025, 11:12:48 AM