「だいきらい。2度と会いにこないで」
幼かったわたしの一言を受けて、義姉は姿を消した。
兄の葬儀の2日後のことだった。
幼いわたしは兄が病死したのは、ずっと彼女のせいだと思っていた。大好きな兄を取った彼女をうらみ、それでも優しくしてくれるから嫌いになりきれなくて、もやもやしていたものが兄の死をきっかけに表面化してしまった。
私の言葉を聞いた彼女は老婆のようにうつむき、何も言わずに去っていった。そして行方をくらましてしまった。
後悔したけれど、もう遅い。やさしかつた義姉はどこかに行ってしまった。誕生日の夜にプレゼントのお礼を伝えた電話番号にかけても、誰にもつながらない。
あれから10年。わたしは彼女に電話をかける。つながらないとわかっているのに、それでも彼女に謝りたくてコールする。
分かってる。わたしがやっていることはただの自己満足で、なんとか綺麗な結末に取り繕いたくてあがいてるに過ぎないんだと。
それでも義姉の教えてくれた言葉が背中を押す。
わたしたちの体を作る構成分子は星屑なんだと。右腕と左腕は宇宙のどこかから訪れた違う星屑のカケラなんだと。
もしかしたら、そう、本当にもしかしたらわたしの左腕と義姉の右腕は同じ分子で出来ていて、それを伝って声が届くかもしれない。
私の祈りは星屑を通して時を越え、願い奇跡にたどり着くかもしれない。
長いコール音の後、誰かが優しい声で応答してくれた。あの時の義姉の声だった。
1/31/2026, 8:33:15 AM