れい

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――1000年―― (!この話はフィクションです!)


「1000年って長いと皆は思うのでしょうか。」


「私には短く感じますね」


そう彼女は言った

普段誰も来ない様な人気の少ない河川敷。

僕はここを毎日、日の昇る少し前から散歩に来て、座って
後悔に溺れる様な生活をしている。

そんな私はただの社会人。
世間の偏見という名の常識や、


当たり前の毎日残業

人間関係のいざこざに付き合ったり、

上司のイライラに付き合い愚痴を聞きやけ酒する毎日

嘘に塗れる汚れた世界に、

体調面、精神面でも限界を感じていた。



そんな僕は最近よく



――「川に流れて消えてしまいたい」




そんな縁起の悪い言葉を呟く様になった。

そんな日々の一時突然横から聞こえた言葉。


「1000年って長いと皆は思うのでしょうか。」


僕は思った。


―そりゃあ長すぎるよ。僕は1000年も生きていたくないね。

けれど決して言葉にはしなかった。

彼女の容姿を確認しようと思い横を向いた

彼女は人ではなく


妖怪と言われる九尾の狐だった


ふわふわとしたその身体に

少しキリッとしているが優しい目をする彼女

言い伝えられている程不気味では無く

逆に愛おしいとまで言える見た目に僕は見惚れていた



「私には短く感じますね」


「なんですか、そんなにじっと見て」


そんな風に言う九尾の狐に上手く僕は言葉を発せなかった

少し時間が経って九尾の狐はこう言った


「本当は貴方を連れ去って行こうかと思ってた」

僕は一瞬目を見開いたがすぐ微笑んでこう言った

「僕を連れ去ってください」
「この汚れた世界はもう嫌ですから。」


「あのね坊や」
「私達九の尾を持つ狐は1000年以上生きている」

「私は生まれた頃の記憶が無いけど、
貴方みたいに1000も生きるなんてゴメンだった」

「無理に生きろなんて言わない。嫌なら逃げればいい」

「自分の限界を知っている様な大人が限界を迎えても一生懸命  に務める理由は分からない」

「あと2日でいい2日生きてみろ」

「その2日は楽しい事を中心に考えてみろ。それからだ」

そう言って狐は消えていった



―――あれから10年

私には今、嫁と子供がいる

今があるのはあの狐のおかげだ

九尾の狐に会ったあの日から2日間色々あった

社に今の嫁が入ってきて私は一目惚れした

もしあの日消えていたら得られなかった感情

なんとなくでも生きる意味はあるのかもしれない

―――――――――――――――――

長くなってしまいました、

10年後は一人称を私にして表現しにくい心の変化を表したんです!

2/3/2024, 8:28:21 PM