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たくさんの思い出

拝啓 親愛なる君へ

 風が吹き荒び、いよいよ冬も本番といった頃、いかがお過ごしでしょうか。

 ふふ、驚いた?ちょっとお固めの挨拶にしてみました。お手紙なんて久しぶりだから書き方が分かんなくてね。
 それで本題なんだけど、ていうかここからは私の遺書です。私がどう思って生きてたか、彼氏である君に伝えておきたくて。まあ自分の気持ちを整理したいっていうのもあるけどね。

 私、自殺します。
 あの周りより一際高いビルあるじゃない?あそこからぽーんっと転落死!ドキドキするよね。君は「やっぱお前可笑しいよな」なんて言うんでしょうか。それとも「そのドキドキって恐怖じゃねーの」とか言うんでしょうか。まあ何言ってても私にはもう聞こえないけどね。
 あっ!動機、動機を書かなきゃね。まず生まれから遡りますか。私の家って名家でさ、長く続いてきた家だから本家とかあるんだよ。(もう知ってると思うけど)私が生まれたのは本家。そりゃもう金がかかった娘なんですわ、こちとら。小説に出てくる令嬢みたく、琴、ヴァイオリン、ピアノ、バレエ、塾、料理教室、部活してたんですよ。私めっちゃ器用じゃん?自由時間を犠牲にすれば全部ある程度出来ちゃったんだよね!!!でも、私完璧じゃないからめっちゃくちゃストレス溜まるわけ、友達と遊べないし、周りと違うの辛いし、先生厳しいし。なんで私だけこんな大変な思いしなきゃいけないの?って。ほんと嫌だった。
 そんな時君と出会った。運命だと割と本気で信じてるよ。そのぐらい君に救われた。
 出会った日の事覚えてる?覚えてない訳ないよね!


11/18/2023, 2:33:20 PM