‐落下‐
天蓋に吊られた
黒鐵鋼裝飾の
硝子燈會の中で
紅い炎が妖しく搖れる
炎に釣られて
照らされて
蒼い蛾が
翡翠色の翅蟲が
夢見心地で
囘り飛び交ふ
身を滅ぼすと解つてゐても
危險な戀慕と解つてゐても
吸ひ寄せられて近づいて
炎に灼かれ彈け散る
炎は誘ふ
こつちへおいでと
蟲が応へる
そつちへ逝くと
愚かな蟲と蔑む君
盲目の想ひ
羨望するぼく
ぼくらは道を間違へた
君は誰も愛さない
ぼくも誰も想はない
不毛な二人
さうなる爲のカードは
全て揃つてゐるのに
6/18/2022, 1:49:20 PM