雪 兎

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 自分は人のことが嫌いだ。
 人は嘘を吐くし、みんな自分勝手に生きている割にそれに気付いていない。それが酷く居心地が悪くて。
 自分だって、自分勝手なんだと思う。だから人とぶつかることがあるし別にそれは間違っていることではないと思う。
 でもそれじゃあ駄目なことが多い。
 いつだって、人の気持ちを考えることは出来ても人の気持ちをしっかりと理解することなんてできない。
 それでもそれを求められてしまう。言葉にしてくれないまま、わかってほしかったと言われてしまう。
 それに少し疲れていた。もう人と関わることなんて別にしなくていいかとすら思っていた。
 そんなとき、君と出会った。

 これまでのことを、隠すことなくすべて話した。
 それは何も君が特別だったからではなくて。
 もう、どうでもよかったのだ。これに共感などされなくても、人として間違っていると思われようとも、引かれようとも、なんでもよかった。
 なんならそうされるとすら思っていて。
 だから、すべてを吐き出さなくても吐き出しても二度と関わることがないのならば同じだと腹を括る、否諦めただけだった。
 そうしたら君はケラケラとそれはそれは愉快そうに笑って。
 それからたった一言、確かにそうだよねと呟いた。
 その言葉が胸にじんわりと広がって、泣きたくなった。
 唯一、わかってくれた瞬間だと思ってしまった。そしてそんな自分が悔しくもあって。

 あれからもう随分と時間が過ぎた。
 君と出会ってから共に過ごしてきた期間は私にとってかけがえのない時間になってキラキラと輝いている。
 まあ、本人に言ったことはないのだけれど。
 薬指に光る貴方からもらった宝物をそっと撫でて。
 君とこの世界で、一緒に過ごせてよかった。
 来世も貴方と出逢えますように。
 そっと口付けて、私も眠ろう。

" 二人ぼっち "

3/21/2026, 1:16:13 PM