語彙力ないです(更新遅め)

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君が見た景色


君が最後に見た景色はどんな景色だったんだろうか。

機械音の中静かにベッドで寝ている君に見て思う。
医者が言うには今は機械で一時的に生かしているが止めたら死ぬ、と。
彼女がこうなったのは交通事故のせいだった。信号無視の車にぶつかられたせいらしい。
車を運転していたやつも運び込まれたらしいが、手遅れだったと警察が言っていた。
こんなドラマみたいなことが自分の身近に起こるとは思わなかった。
実感が湧かないせいか、適当に返事をして流してしまった気もする。
こうして見ると、ただ眠っているように感じる。今にも飛び起きて、ドッキリだったと伝えてきそうだ。
しかし、そんな優しい世界ではないため、ただ、静かに時間が流れていく。
君の手を握ってみたが、いつものように暖かくはなく、少し冷たい気がした。それに、握り返してはくれない。
いくら話しかけてもこの冷たい機械音が響く部屋に自分の声が、自分の声だけが反響していた。
こんなことならもっと話しておけばよかった。やら、もっと愛してるといえばよかった。など、後悔の波がおしよせてきている。
どうして君なんだ…。
どうして、どうしてこんな酷いこと…。
今日ほど神を恨んだことは無いだろう。
もう一度笑ってるところが見たかった。もう一度、生きてるうちに会いたかった。抱きしめて、キスをして…。
考えても意味の無いことで頭の中がいっぱいだった。
君が最後に見たのはどんな景色だったんだろう。
どんな景色を見ながら意識を失っていったのか。
君が見た景色を全部自分に共有できたら…。
気づいたら目の前が涙で滲んでいた。
ここに来てから初めて泣いた気がする。1度泣いたら止まらなかった。大の男が一人でおいおい泣いてしまった。きっと廊下に響いてしまっているのではないだろうか。優しさなのか、気づいていないのか、誰も来なかった。
君が目を覚まさなくて良かった。
だって、君にはこんな情けない姿見せたくないから。君の景色の中の最後の僕はかっこよくあって欲しいから。

8/14/2025, 6:03:32 PM