通りすがりの字書き

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ここにくると色々な人を見られる。
今日はアチラ。私からは左前方に見える位置に男女がいます。
こちらから、男性の表情は伺えませんが、男性と対峙している女性の表情はよく見えます。
とてつもないほど、恐ろしく、暗い表情です。
「ねー店長、アレ修羅場?」
目の前にいた、このバーの主は真面目な顔で、
「それ、誰かわかっています?」
ん?私の知っている人?もう一度左前方を見るが、誰かはわからない。私が首を傾げると、
「ま、もう終わるでしょう。終わったら、男性はあなたの隣に座りますよ。」
ん?修羅場後に隣に来ても気まずいだけじゃないか?
そう思いつつ、私はロックグラスを傾けた。

ドサッ。

突然左前方から、大きな物音がしたと思ったら、女性が1人で店を出て行った。
私が女性を目で追っている間に、隣に誰かが座った。
「終わりましたか?修羅場?」
ドサッと茶封筒が机に乱暴に置かれ、
「誰が修羅場だよ。」
この声は、右を向かずともわかる。まずい、今日の心模様が真っ白になった後真っ黒になった。
「そうか、君が修羅場と言ったんだね?ただの業務連絡を。ふーん。」
月曜日からは会いたくない男だ。酒を水のように飲む友人と月曜日から飲みたくない。潰される。
逃げたい。この場から今すぐ。


お題『今日の心模様』

4/24/2024, 4:04:48 AM