紅月 琥珀

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 様々な船が大海原を進んでいく。それを私はただ見守っていた。
 ゆっくりと進む船。猛スピードで駆け抜けていく船。小さなモノも、大きなモノも一様に自身のペースで前へと進んでいく。
 けれども、その途中で止まってしまう船や嵐に見舞われて転覆しそうになる事も⋯⋯否、転覆してしまうモノもあるだろう。
 それでも、各々が工夫を凝らしてこの海原をゆく様はとても尊く、私は見守るのをやめられなかった。

 ある時は手を差し伸べ、ある時は背中をおした。
 良縁を繋ぐ事もあったが、厄を祓う事もあった。

 様々なモノ達の力を借りて、各々が目指す先をいく。
 この船達の行く先には、まだまだ暗い夜が待つだろう。
 己が答えに辿り着こうと、これからも足掻きながら進み続けるこの船達に、どうかこの光が―――私の導きが届く様に、そっとこの夜を照らし続けるのだった。

5/11/2025, 11:16:59 AM