緋衣草

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クリスマスの過ごし方 12.25


今日の勉強時間:7時間44|

点滅するカーソルに大きくため息を吐く。10時間は勉強したかったのに。揺られる電車に身体を任せて萎れる。雨の前のように鈍い頭痛がぎゅうぎゅうと脳を絞って集中できなかった。
「アイツは裏切ってないよね」
言葉に出して、噛み締める。高校入学前、同じ志望大学を目指すと宣言して別れた彼。
きっと、なんでもない顔をして滑るように数式を書いているに違いない。アイツにとって25日という日は「共通テストから数えて19日前」という認識でしかないはず。真面目な顔で「せをはやみだな」と言って手を振るような人。だからきっと、大丈夫。

「やめてよォ」
視界の隅でイソギンチャクのように腕を絡ませているカップルが漂っている。さらりと青年の髪が揺れて、こちらと目が合う。頭の奥で何かがパチンと弾けて、へらりと笑ったアイツの顔が網膜に焼き付く。

はっと気がつくとドアが閉まりかけるところだった。慌ててリュックを引っかけ滑り出る。
息を吐き、きゅうと胸を抑えた少女は少し、あくびを堪えるような顔をするとほんのり涙目で階段を駆け上がって行った。

12/26/2023, 8:10:43 AM