『秋風』駅のホームにぼんやりと立ち尽くしていた。ひんやりとした冷たい風に一瞬身震いし、私は羽織っていたブレザーを握りしめた。どこか人肌寂しくなる季節に移り変わる景色私だけが置いていかれている気さえして、冷えた手を握りしめた。帰りの田んぼ道、揺れる穂で埋め尽くされた黄金の海に私は目を奪われた。茜色に染まる空に、東の空には尾を引いた星が小さく輝いていた。──レモン彗星だ……千年越しに届いたその光は、私の目に焼き付いて離れなかった。
10/23/2025, 6:30:07 AM